図書館で、素敵な装丁に魅入られて手にとったのが出会い。
きれいにコーティングされていてカバーがはずせなかったけれど
本体もとても美しくつくってある気配。
そして外見だけでなく物語もまた、とても美しいものでした。
これはきちんとお金を払って、自分の本棚に置かなくては…と我が家の本棚にやってきました。

もうすぐ中学生になる、春がはじまるころにであった3人の女の子…まゆ子、アミ、テト。
あっという間に心を近づかせた3人が出会う不思議なできごと。
アミとテトが通うことになる中学校の寮に残る悲しい噂とジンクス。
なぜかくりかえし3人の前に現れる茶色い瞳の青年。
謎めいた、ニガムシ顔のおじいさん。
街外れにある、塔のある家。

ノスタルジーを感じさせるような舞台設定ですすんでいく物語は、まるで刺繍のよう。
過去と現在、移り変わる季節や大人になっていく3人の心を複雑に織り込んで
ほう、とため息をつきたくなるような美しい模様が出来上がっていきます。

そしてこの物語を紡ぐ太い糸であるのが『小公女』の本。
みなしごになったセーラがつらい環境の中で健気に生きて行こうとする有名な物語ですが
その取り上げ方があまりによかったので…改めて読み直したくなってしまいました。
女の子たちが自分の残酷さや気まぐれや思うようにならない感情をもてあましつつ
セーラの心の気高さに憧れて…ときどき凛とした気持ちになれたりする。
これは物語内でも引用された『小公女』の文章。

―“Whatever comes,”she said,“cannot alter one thing.If I am a princess in rags and tatters,I can be princess inside. It would be easy to be a princess if I were dressd in cloth of gold,but it is a great deal more of a triumph to be one all the time when no knows it.”―

こうありたいと願う気持ちが、この物語の透明な軸。
少女たちだけでなく、かつては子どもだった大人たちにとっても。


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2013年2月19日更新
『緑の模様画』 高楼方子

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