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子どもは知らないことを知るのが大好き。新しいことを覚えるのは楽しい遊びです。
「子どもを本嫌いにしない」というタイトルですが、子どもははじめから本が嫌いということはあまりない。なのに、好きじゃないものを無理やり押し付けられたりしていると嫌いになってしまうでしょ? なので「ずっと本を好きでいてもらうために」というのが、この本の正確なタイトル、と著者の赤木かん子さんは書いています。

この本のなかで、すごく大事だなと思うところは、本好きな人=小説を読む人、と思われがち、というところ。
この本では物語や詩歌や民話など誰かが作った話(空想系)と、乗り物や昆虫だったりのこの世に本当にある話(リアル系)と分けているのですが、そのどちらも、同じ「本」。文学というのは本の分類のほんの一部で、物語を読むことは楽しめないけれど、図鑑や科学の本は好き…それはどっちがえらい、みたいなことはない、ただの好みの問題。

それを大前提として、小説を読めるようになることではなく、本を楽しめて役立てられるように、ガイドしてくれるのがこの本です。

赤ちゃんから小学生までは、どんなふうに興味の移り変わっていくのかということを教えてくれます。
たとえば、科学の本だと、子どもの興味に沿って、生きていないもの(無機)と生きているもの(有機)に分けて考えてみます。
生きているものは、背骨があるものとないものにわけてみる。そこからさらに変温動物と高温動物にわける。
なぜか小さい子は変温動物が好きで、大きくなるにつれて身体のあたたかいものを好きになるのだとか。
あーたしかにそうだったかも、と思います。それによって楽しめる本も変わってきます。
そして中学生くらいになったら、親は子どもが何を読んでいても知らんぷりしましょう、なんてことも書いてあったりします。

ほかにも、子どもが難しいと感じることや、興味が出てくることがわかりやすく書かれています。もちろん成長のスピードや好みといった個人差はありますが、そういう個別な違いを見ていくという点も含めて、子どもに本をあげるようなときに、すごく参考になります。親から子へというのはもちろん、近しい子どもにプレゼントするときにも、役に立つ内容だと思います。
本の帯をはずすと、表紙の本を読んでいる親子がにっこりするのが、また素敵。表紙絵はtupera tuperaさんです。

本というものを、使うのも、役立つもの、楽しいものとしながら、特別に考えすぎずに付き合いかたを提案する考え方は、本に仕事で接している人にも読んでみてほしいと思う内容の本です。

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2014年11月24日更新
『子どもを本嫌いにしない本』 赤木かん子

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