本好きの友人のおすすめでこの本に出会いました。
ニューヨーク在住の女性ヘレーン・ハンフが、ロンドンのチャリング・クロス街84番地にある古書店マークス社へ送る手紙からはじまる、その後20年にわたる往復書簡集。
ヘレーン・ハンフは、当時アメリカでは手に入りにくい安くて美しい本を求めて古本屋へ手紙を送ります。そのリクエストに応えるフランク・ドエルを主としたマークス社の人々との往信。注文と納品というやりとりをこえて、親交を深めていきます。
わたしはおそらくこの手紙のやりとりに含まれる要素のすべてを、理解できてはいないのです。
おそらく名著揃いと思われる列挙される数々の本も知らないもの読んだことのないものが多いし、それ以前の教養の足りなさゆえに書簡のはしばしにある軽妙なやりとりの意味をわからないまま受け止めたものもしばしば。
それでも、ハンフが本を手にする喜びはそれこそ手にとるように伝わってきます。ずっと会うこともないまま、本を通じて手紙だけで繋がる人たちがお互いに親しい気持を抱いていくことも。
この書簡集はブックガイドのようにこれまで知らなかった本を読みたくさせるところもあり、この手紙が書かれた第二次大戦後の米英の様子を知る史料のような面白さもあります。
でもなにより私がとても好きだなあと思ったのは、時代も国も関係なく、本を愛するひとたちが個人的にその愉しみを満たしながら、その喜びを共にもしているところ。ささやかながらも満ち足りた幸福感。
まさにタイトルの、書物を愛する人のための、という通りの本。
わたしにとっても、本を愛する友人にすすめたい本になりました。
2013年4月21日更新
『チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 』 ヘレーン・ハンフ
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イギリスヘレーン・ハンフ中央公論新社
ただいま 54 ストック!
こんにちは、鳩です。
食べること寝ることに並んで本を読むことが大好きで、ついにはお仕事まで本に関わることをしています。ここはわたしが読んだ本ばかりの個人的な書庫でもありますが、あなたにおすすめしたい本を差し出す本屋さんのカウンターでもあります。読んで好きになった本、印象に残った本、私はあまりなじめなかったけれどおすすめしたい誰かの顔が浮かんだような本を集めています。記事から記事へキーワードをたどってめぐることもできますし、表示される記事やキーワードもそのときにより変化します。気になる言葉や名前などを各記事下の検索欄で探していただくこともできます。
いまはまだ少ないこの書庫の蔵書も、うっそうとした本の森にそだつ予定です。どうぞ気ままにお散歩して、本と出会ってくださいな。
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