タイトルと表紙が気になって手にとったこの本。
大好きな高楼方子さんの『緑の模様画』という本と同じ、平澤朋子さんの装画でした。
こんな風につながる出会いはうれしく、はずれがないものです。

旅先で「わたし」が迷い込んだのは、しゅうぜん横丁という路地。
名前のとおり、いろんなものを修繕してくれるお店がずらりと並ぶ不思議な場所です。
たんす屋、カード屋、刃物屋に人形屋、えりとそで屋…ほんとにたくさん!
読んでるうちに私も横丁に入り込んで
「わたし」と一緒に丁寧で地味な作業に目を凝らしつつ
個性的な職人さんたちの話に耳を傾けます。
なおしてなおして長く使われたものは、必ず物語を持っています。
かわいい話、悲しい話、ときには魔法のような不思議な話…。

こわれたものはもう同じには戻らないけれど
まるですっかり直ったように生まれ変わる。
もしかしたらぴかぴかの新品より、うつくしくなるのかもしれません。

この素敵な物語…新しいのかと思ったら、1981年の本の復刊でした。
ものがたりも姿かたちを変えて、生き続けていました。


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2013年2月21日更新
『わたしのしゅうぜん横町』 西川紀子

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